石巻農学② 開催レポート

2018年9月2日、石巻市農業担い手センターにて、「石巻農学② 車座座談会」を開催しました。

 

 【左がゲストの鎌田大地さん、右がファシリテーターの菅原大樹さん】


「石巻農学」とは、地域の農業を「知る・学ぶ・つながる」機会を創出するための企画です。ここ宮城県石巻市は、漁業や水産加工の地域でもありますが、農業も非常に盛んな地域。ただ、他の地域と同様に若手の就農促進や、放棄地の活用なども未来に向けての課題になっています。そのような状況を改善していくための企画とも言えます。

 

2回目となる今回は、2015年4月登米市東和町で木漏れ日農園を開業した鎌田大地さんをゲストに座談会を開催しました。
前回ご参加いただいた方が今回もご参加下さったり、新しくお知り合いの方を連れて来て下さったり、と2回目ながらにおかげさまで輪が広がっていく可能性を感じました。

 

さて、肝心の内容…

【今回も恒例のゲストのお野菜紹介、そしてランチの調理から!】

 

ファシリテーターを務めてくださった、同じく登米市の農家さんである菅原大樹さんを中心に、この場で美味しかったね!だけではなく、手軽に、BBQやお家に帰っても野菜を美味しく、楽しく食べるレシピ!というコンセプトのもとランチが準備されました。

 

ランチも整ったところで、いよいよ鎌田さんのトークのスタート。

 

【ワイワイみんなでランチの準備】

 

ライフスタイルとしての農業をしており、仕事というより生き方なのではないかと思っています、と始まりました。


1993年生まれ。25歳の鎌田さん。登米市で生まれ育ち、大学では農学部で農業経済や経営を学び、卒業後すぐにUターンし、「木漏れ日農園」という屋号で農業をスタートをさせました。

 

"農業以外にも、狩猟免許をとったり、林業、養鶏、養蜂などいろいろなことをしており、あえて「百姓」と言っています。百姓というと、百のなりわいを、仕事を出来る人と書くので、現代においては、スーパーマンのような存在に感じますけど、そういう人になりたいと思っています。"

 

元々、米農家の6代目。ただ、稲作だけで食べていけるほどのサイズはなかったため、そちらは祖父母を中心にして、手伝いつつ、自身は年間70種の野菜を農薬・化学肥料不使用で作っていらっしゃいます。

 

さらにユニークなのは、伝統野菜を16種ほど継承している点。育てた野菜を収穫せずに、種をとるためにとっておかなければならないため、生産性が悪く、やる農家が減っているのが現状です。しかし、登米にも20数種あった、種を守ってきた人が高齢になってしまい残せないかもしれない、という中で鎌田さんが受け継いで作っているそうです。その結果、この世で今自身しか作っていない野菜というのも。


"地元で普通に食べられていた野菜なので、ただ焼いて食べる、などなかなか広がりがなかったため、お世話になっている飲食店の人に使ってもらったり、メディアで取り上げてもらうことで、もっと意識して食べてもらう文化づくりも行っています。"

 

 

"農薬・化学肥料を使わない栽培がメインですが、農業、林業、畜産業の複合経営を目指しています。自身の農場は普通に考えれば山間地のため、条件不利地です。ですが、豊かな里山を活用し、若者でも山間地、中山間地で楽しく暮らせるモデルをつくろう、と取り組んでいます。"

 

高校時代の進路選択で農業を将来することを決め、進学した鎌田さん。学生時代も農家になるためのいろいろな活動をしていたそうです。

 

"4年には単位を取り切っていたので、アパートを引き払い100種くらいの野菜を育てながら、時には「あぐりどんと祭」などのイベントをしたり、野菜を仙台に売ったり、その合間?にゼミに出席していましたね。男二人で農業の先進地を巡ろう!と日本一周したこともありました。"

 

そんな活動をきっかけに、学生時代の仲間がこの数年で東京などから登米に移住予定とのこと。

 

色々やっていま日本ミツバチは買ってきたわけではなく、巣が分かれる時期に、ミツバチにとって快適な巣をつくり捕まえて養蜂を。去年スタートし、去年は台風で壊れてしまったが、今年は今月末くらいからさい蜜をする予定。受粉もしてくれる。

 

"飲食店向けの貸し農園もしていて、月に1度くらい来てもらって、一緒に農作業をしたりしています。自分が出す野菜は、美味しくないわけがないという状態をつくってお客さんに提供してほしい、と伝えているんです。だから、野菜の情報は出せる限り全部だします。その一つの情報として、こういう作り方でこういう場所でこう作っているというのを、実際に体験してもらって、それをお皿に出してもらっているんです。情報っていうのは、お客さんとのコミュニケーションツールにもなると思うんです。"


「情報が加わることで、これ美味しくない訳ないじゃん!という状態でお客さんに食べてもらえる」ということで、木漏れ日農園を出しているお店の人には、必ず農園に1度は足を運んでもらっているそうです。

 

野菜の配達も週2回、仙台まで自身で往復200km近くの道のりを持って行くそう。一見、結構な手間ですが、実際使ってもらう人の反応を直接見ることができるので、通常農家がなかなか聞けない食べた人の「おいしい」という言葉を聞けたり、モチベーションも上がるので、その価値を実感していると話します。

 

"飲食店は、農家に一番身近で強力なメディアだと思っている。飲食店のみなさんも仲間で、一緒にやっている感覚は強いかもしれないですね。"

 

 【本日のメニュー:バターナッツのポタージュ、木漏れ日農園の野菜のバーニャカウダ風】

 

"とにかく里山の資源をフルに活用して、楽しく稼いでいく。そういうロールモデルを造りたいと思っています。条件不利地である山間地には、人がいない、稼げない、空き家や耕作放棄地が増えていますが、そこでもできるんだというモデルをつくりたいんです。なので、大規模化ではなく多角化を目指す、だから百姓だ!と思っています。"

 

自分の好きなものを、好きなように作って食べれるのは農家の特権。
好きな品種、好きな栽培方法で、好きな味に育てることができるなんて、とても豊かな事ではないか、と。農業の一番のおもしろさだと思う。

 

 

*執筆後記*

本日のお食事のお野菜も一つ一つ丁寧に、食べ方や味の特徴はもちろん、育て方までしっかりご紹介くださった鎌田さん。

味が美味しいのはもちろんですが、そんな鎌田さんのお話を聞きながら、「自分が美味しいと思うものしか出さない!」という鎌田さんの想いを感じながら食べるお野菜はますます美味しいものになったような気がします。

 

ファシリテーターの菅原さんからは、以下のようなお話も。

 

"東京が食料自給率1%の中、宮城は75%前後、登米市は300%弱です。農家の使命は、住んでいる人たちが満足できる食料を生産して提供できることにもあると思います。そんなことも地域の魅力になるのではないかと考えています"、と。


"蔵王の関口さんという農家さんが言っていた言葉で「かかりつけ医がいるのと同じようにかかりつけの農家がいても良いのではないか」という話があります。私たちは、自分たちが誰のかかりつけの農家になれるかを日々考えている。安定的ではないかもしれなませんが、横のつながりを強くして、仲間で1シーズンで多くの事例をつくることで、より速いスピードで、より良い方法を見つけ、実践していけると思っています。"


農家同士の横のつながりもですが、食べる人とつくる人がつながって正しい情報が伝わることで、美味しい野菜が、ちゃんと一番いい状態で食べてもらえる、そのおいしさを素直に知ってもらえるというメリットもあると感じているそうです。

 

引き続き、農業はもちろん、食に興味のある方、美味しいものをより美味しく食べたい!そんな皆さんにご参加いただき、一緒に場をつくっていきたいと思います。
 

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